コロナのため、今年は年初めから私が教わりに行っている陶芸教室はお休みとなりました。その後、教室は再開されましたが、作品が溜まらず、窯焚きが遅れに遅れ、11月に本焼きとなりました。
私にとっては1年分の作品ですので、かなりの量があります。
このテーブルの上に乗っている作品は全て私の作品です。陶芸教室では作品のサイズを測って、その大きさに応じて焼き代を支払うことになっています。色々試したい技法があってそれを次々とやったので、数はあります。数の上では、家内が作った作品の4倍の量になりました。
初めての技法が多かったので、失敗も多かったです。
その失敗から学んだことをすぐに次に生かしたいところですが、残念ながら次の窯焚きは来年の夏ぐらいになりそうです。
メモをしておかないと、忘れてしまいそうです。
ここでは陶芸の紹介とともに、自分の失敗のメモ代わりにもさせてもらおうと思います。
小さな丸皿が38枚あります。このくらいの皿でしたら、色々技法を試すにはちょうど良いです。
「いっちん」という技法があります。スポイトを使い色のついた化粧土で絵や模様を描く技法です。これをまず試しました。
やってみるとわかるのですが、かなり慣れが必要です。クローバーはいっちんで描きました。
松葉も細い口のスポイトを使って線を描きました。
クローバーなどは柔らかい感じになるので、良いのかもしれません。
しかし、水の波紋をモチーフにデザインした時は、「いっちん」だとシャープな線にならず、効果的では無いようです。
水の波紋は気に入った図柄でしたから、たくさん試しました。その中で、象嵌の技法は良さそうなことがわかりました。
象嵌は、溝を彫り込んだところに化粧土を嵌め込む技法です。
反省点としては、水の波紋の形が歪んでいたりして美しくないことです。歪まない美しい同心円を描く必要がありました。
今回、粘土は、信楽土と特赤5.5を使っています。特赤5.5は鉄分がかなり多いようで、これに織部釉をかけたものは失敗でした。
化粧土として肌色も使っていますが、これは暖かい感じになります。
今回、出来上がりを期待していた、波紋の小皿は、昨年の11月に作っていました。黒の釉薬を掛けてから波紋の形に削り、白化粧土を埋め込んだのですが、黒の釉薬が褐色になってしまったことと、見てもわかるように波紋が綺麗な同心円になっていないことや美しい線になっていないことが今後の課題です。
今回大量に作った作品として、石膏型を使って板作りで作った菓子皿があります。お同じ大きさを15枚作りました。2枚は模様を彫り、黄瀬戸釉をかけ「タンパン」という技法も使っています。
模様は、水草とメダカです。先生には最初「ムカデ?」と言われました。「タンパン」は、本来は硫酸銅の水溶液を黄瀬戸釉を施した後に垂らして、独特の「焦げ」を作るものです。今回は合成の「タンパン」です。本物だと裏まで「焦げ」が通るそうです。
あと13枚は「ブロンズ釉」という釉薬をかけています。これを使うのは2回目です。銅を成分とする釉薬ですが、金色が浮かび上がってくるのが特徴です。金属のような仕上がりになります。そこで、その効果を生かすために、板皿は4mmほどのとても薄い作品にしてあります。
薄くて平たい作品は、どうしても歪みがちです。歪まない方法を実は工夫しました。
秘訣は、余計な力を作品に加えないこと。作品の乾燥に数週間かけることです。
蕎麦猪口もたくさん作りました。黒っぽい方は、ブロンズ釉薬と伊羅保釉です。どちらも特赤5.5という鉄分の多い粘土で作りました。ブロンズ釉の方は、平皿に比べて釉薬のかかりかたが薄かったのか、かなりつや消しの状態になりました。
伊羅保釉の方は、伊羅保釉と思えない発色です。本来ならもう少し黄色くなるはずです。おそらく土の鉄分との関係でこうなったのだと思われます。伊羅保釉を生かすのなら、特赤5.5はあまり向いていないということです。
椿の図柄を描いた方は、色々な失敗をしています。
一つは図柄をベルベット下絵の具で描いたのですが、葉の一部と、赤い椿の中心部分は下絵の具ではなく、緑は織部釉で、濃い赤を鉄赤釉で出そうと試み、そこだけ下絵の具を塗らずに織部釉や鉄赤釉で描いたのです。
結果は、織部釉や鉄赤釉は思った色に発色しませんでした。上から白萩釉をかけているのでそれとの関係かもしれません。
葉っぱはベルベット下絵の具だけにすればよかったのかもしれません。
椿の赤は、ベルベット下絵の具の上に鉄赤釉をかけた部分だけは濃い赤になっていて良い感じでした。椿の中心部分は黄色の絵の具で描いたのですが、黄色く発色しませんでした。黄色を発色させるのは難しいようです。
あと白萩釉を二重がけにした部分は剥離して下に流れていました。白萩釉は1度で上手にかけないとこうなるのかもしれません。
入れ子となるように作った皿です。ブロンズ釉薬の発色は良いです。ただ、こうしたものを作る際には、均等に小さくなるように正確に作らなければダメでした。
白いカップは実は、模様が彫ってあります。しかし、白マット釉の厚さの関係か、模様が浮き出ませんでした。模様を生かすのなら、その部分は釉薬が厚くならないようにする方が良いのかもしれません。
その手前のはルリ釉をかけたのですが、特赤5.5の土との関係でしょうか。ルリ色になる部分とそうでない部分が出ました。ただ、結果としては悪い雰囲気ではありません。
ソーサー付のデミタスカップは信楽土に内側は白マット釉、外側は白萩釉をかけています。あまり厚くかけなかったのがよかったのか、うっすら雪化粧をしたような椿になりました。
奥の2つはルリ釉薬で山のシルエットを描き、ガムテープをマスキングテープとして細く切ったものでススキやアザミを描き、釉薬を抜いたものです。
模様を釉掛けから抜く方法は、撥水剤やガム液を使う方法もありますが、ガムテープを使う方法が一番くっきりと抜くことができます。
最後に来年の干支のトラです。
本来なら素焼きで仕上げるところですが、素焼きの窯出しが終わった後に作った作品ですので、いきなり本焼きにしました。
おそらく素焼きならもう少し黄色い色になったと思います。
今回、自分でもわかってはいたのですが、先生からは「急いで作っている感じがする」と言われました。
作品1つ1つの精度が足りないということだと思います。
気に入っていた水の波紋も、もっと円の形にこだわって作っていれば、もう少し満足できたのかもしれません。
「象嵌」の技法は、それを専門に行う陶芸家もいるようです。やってみてわかりましたが、象嵌のエッジのシャープさを出すには、道具の工夫や、加工する時の粘土の乾き具合などが影響するようです。
それ以上に、満足できる精度までこだわる意識の問題が一番大きいのかもしれません。
ただ、陶芸は、やってみないとわからないことが多いのです。同じようにやったつもりでも違う焼き上がりになったりするのです。
本当に奥が深いです。まだまだチャレンジしていこうと思います。