吾妻小舎はいい山小屋ですよ。と山の大先輩から聞いていて、ぜひ行ってみたいと思っていた。しかし、今年、一切経山の噴火レベルが上がったため、吾妻スカイラインがストップとなり、初夏に行くことができなかったのである。その後、一切経山は登山できないものの、スカイラインは通行できるようになったので、夏の終わりに行くことにし、それが今回であった。
天気はあまり良くないが、私は吾妻小舎に泊まれることが楽しみであった。
ご一緒した山の先輩は、数えてみると80回は吾妻小舎を訪れているとのことであった。以前は遠藤ご夫妻が小屋番を勤めておられたが、ご主人が病気で亡くなり、奥さんがしばらくやっていらしたが、その奥様も山を降りられているとのことであった。そこで、最初は遠藤さんの奥様にご挨拶に上がり、それから吾妻小舎へ向かった。
小屋に着いてからは、まずは浄土平湿原の方へ歩いて行ってみることにした。
浄土平へ向かう途中、アキノキリンソウとリンドウがいっぱい咲いている場所があった。
浄土平の向こうに一切経山がある。その中腹から噴煙が出ている。時折ガガーッ ゴーという音がするが、噴煙の出ているところからの音のようだ。
歩き始めた時よりも雨つぶが大きくなってきた。あまり、遠出はできそうにないので、この後桶沼に立ち寄って小屋に戻ることになった。
白い花は湿原に咲いていたウメバチソウとのこと。桶沼は吾妻小舎のすぐ上にあり、小屋の水源になっている。
小屋は外見だけでなく、室内も歴史を感じさせる建物だ。しかし、綺麗に整理整頓・清掃がされていて落ち着いてくつろげる雰囲気となっている。
2階の入り口を入って左側の大部屋が主に寝泊まりする場所になる。入り口の左側にも小さな部屋があり、それも素敵な部屋なのだが、我々は大部屋に泊まることにした。
大部屋は階段を上ると上にも寝床がある。そしてさらにその上の屋根裏部分にも寝床がある。下でストーブを炊いていると上の方が暖かい。
外は本格的な雨になってしまったので、皆さんは大部屋で語り合っていたが、私は、階段のところと入り口の2箇所で水彩スケッチを行った。
このスケッチの画像はクリックすると拡大する。
遠藤さんの奥様が山を降りられた後、高橋さんが小屋番を勤めている。以前飯豊山の本山小屋の小屋番もやっていらした方である。
照明は電気が点くが、夜遅くは石油ランプだけになる。大部屋とトイレの入り口に石油ランプが吊るしてある。トイレは建物内にあり、様式と和式があり、綺麗に掃除もされていて気持ちが良い。
朝食と夕食ともに和食である。高橋さんの心のこもった料理である。とても美味しかった。
純米辛口 弥右衛門を飲んだが、キレの良い飲み口としっかりとした味のある日本酒で美味しかった。水のような飲み口の日本酒があるが、それとは全く違うタイプである。
朝は、私はいつも早起きなので、夜明け前に起きてしまった。大部屋には石油ランプがまだ点いていたので、それをスケッチした。そのうち、だんだん外の空が明るくなってきた。今日も雨のようであった。
水彩スケッチはクリックすると拡大する。
今回、雨でも傘をさして絵を描こうと思っていた。リンドウは少しは小屋の前に咲いていたが、たくさん咲いているのは湿原の方であった。小屋の周りにはたくさんトリカブトが青い花を咲かせていた。猛毒で知られるトリカブトで、どこか妖艶な感じもするが美しい花だと思った。
のんびり朝を過ごしたが、8時40分ごろ吾妻小舎を出発した。ずっと高橋さんが我々を見送ってくれていた。
また来ようと思う。