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瑞牆山・金峰山を登る

 瑞牆山も金峰山も初めてです。高校生の頃に興味を持った山ですが、アプローチの長さに行かずじまいになっていました。今は、大弛峠まで車が入りますから、金峰山は日帰りの山になってしまったようです。私は、富士見平にテントを張って瑞牆山と金峰山の両方を登ることにしました。


 瑞牆山荘近くの無料駐車場に朝7時ごろに着きました。広い駐車場です。駐車場の隅から踏み跡があり、そこから直接登山道へ出ることができました。登山道は途中、林道を横切ります。富士見平の少し手前で、瑞牆山が綺麗に見える場所がありました。


 駐車場から富士見平小屋までは1時間弱でした。小屋は閉まっており、荷揚げのために下山していると札が下がっていました。翌日も閉まったままでしたから、宿泊の予約がなければ週末に小屋を開けるのかもしれません。テントの使用料はドアのところにあるポストに1000円を入れるように書いてあったので、そこへ入れました。最初にテントを張った場所は、小屋の近くの草地です。写真の上の方に小屋が写っており、右側はトイレです。周りは蕗の葉がたくさん茂っていました。周りにはベンチやテーブルがたくさんあります。とても快適な場所です。テント場として平に整備されている場所は、この下の方にあったので、あとでテントを移動しました。


 この日は瑞牆山へ登ることにして、8時半ごろテント場を出発しました。道は、しばらくは山腹を巻いて進みますが、天鳥川へ向けて下るようになります。河原からは瑞牆山への登りとなります。河原からすぐのところに大岩がありました。桃太郎岩と言うようです。細い枝ではとてもつっかい棒にはならないと思いますが、そうしたくなるような今にも転がりそうにも見える大岩です。

 


 道は沢沿いに進みます。岩を越して行きますが、階段や鎖があり、登りやすくなっています。この日は、私が下山する時に小学生の団体が登ってくるところに出会いました。女の子もいましたが、こうした鎖場も元気に登ってきたのでしょう。沢の音が聞こえなくなってからも急登は続きますが、大岩が現れ、先が明るくなってきたら頂上はだいぶ近くなってきています。


 瑞牆山の山頂には10時43分に到着しました。富士見平から2時間10分ほどかかりました。山頂は大きな岩の集まりになっており、向こう側は断崖です。雲が沸き立っていますが、金峰山の山頂も見えていました。


 山頂から見下ろすところに大ヤスリ岩があります。クライマーがこの岩を登っててっぺんに立つこともあるようです。

 瑞牆山の山頂の片隅から金峰山を水彩で描きました。雲が沸き立ち、時折山頂を隠しますが、しばらく待つとまた山頂が見えてきました。


 山頂から富士見平のテント場まで戻ったのは13時50分でした。テントを小屋の近くの草地から本来のテント場へ移動し、水を汲みに行きました。水場はすぐ近くにあり、水も豊富でとても美味しいです。帰る時には入れられる容器全てに水を入れて持ち帰りました。

 テント場に戻ってもまだ日暮れまでにはだいぶ時間があります。

 今思うと、少し下ったところの瑞牆山がよく見える場所へ行ってスケッチをすれば良かったのだと思います。

 少々バテていて、動くのが億劫になっていたことや、ガスってきて見えないかもしれないと行くのをやめてしまったのです。

 結局、ベンチから富士見小屋を描きました。

 じっとしていると、色々な虫が顔や手の周りに飛んできます。これには参りました。アブなのか蚊なのかわかりませんが、耳をだいぶ刺されてしまいました。

 日が陰ってきたので絵を描き続けることをやめ、夕食を作りました。食べるのは虫に悩まされていたので、テントの中で食べることにしました。

 

 夕食は、お湯を注いでしばらく待つとできる五目ご飯と魚肉ソーセージです。夕食を食べたのはまだ5時ごろだったと思います。そのあと深田久弥の「わが山山」を横になって読んでいたら眠ってしまいました。夜になって雨が降り始め、日付が変わるあたりまでずっと降っていたようです。

 目が覚めてもまだ1時とか2時だったりしました。夜が明けるにはまだだいぶありました。4時前になってようやく薄明るくなってきました。雨は上がっているようです。

 朝食のワッフルと魚肉ソーセージを食べ、金峰山へ向けての出発の準備をしました。


 テントを出たのは4時20分ごろです。道は、尾根に上がり、石がゴロゴロの道をしばらく登ります。そのうち飯森山の南面を巻くようになり、鷹見岩への分岐を過ぎると下って行きます。また登り返すのだからそんなに降らなくても良いのではと思う頃に、大日小屋の前に出ます。5時14分でした。大日小屋は無人の小屋です。湿った感じの小屋です。テントはすぐ上の台地に張れるようですが、富士見平の方がずっと快適な環境に思えました。


 大日小屋から大日岩までは急な登りです。途中に鎖場もあります。25分程で着きました。南側の展望が良く、この時までは、見晴らしも効きました。大日岩を撮った写真は帰りのものです。岩の上が霞んでいます。


 大日岩からは平坦な道や登り道が続きます。最後の急坂が長くけっこう辛いですがハイマツやシャクナゲが目につくようになると、だいぶ登ってきたことがわかります。尾根に飛び出したところは砂払ノ頭と呼ばれる場所で、急に景色が変わります。7時5分到着ですから、大日岩から1時間半近くもかかってしまいました。ここから山頂まで1時間と表示がありました。

 ここからは、岩の稜線歩きです。大きな岩がたくさんある道なので楽ではありませんが、高度感があり、晴れていれば見晴らしもよく快適な1時間だと思います。しかし、今回、見晴らしがよかったのは、砂払ノ頭を少し行ったところまでで、そこからは雲に包まれてしまいました。



 稜線の道が途中で金峰山小屋への道を分かれます。金峰山への道を進みます。稜線は雲に包まれていますが、しばらく行くと行く手に大きな岩が現れました。五丈石なのでしようか。しかし、自分の知っている岩の形と違います。猫が座っているようにも見えてしまいます。


 猫が座っているように見えた岩も回り込んで登ると赤い鳥居があり、私の知っている五丈岩の形になりました。金峰山頂はここからすぐです。山頂には8時6分に到着しました。山頂から五丈岩は霞んでいます。金峰山から瑞牆山方面などを描くつもりでしたが、この時は全く見晴らしは効きませんでした。諦めて、砂払ノ頭まで戻る途中で晴れてきたら描くことにして下山することにしました。


 稜線の途中から金峰山小屋が見えました。大きな岩の傍に小屋が建っています。とても見晴らしが良さそうです。今度はこの小屋に泊まって絵を描きに来ようと思いました。絵を描ける展望はついに得られませんでした。シャクナゲが美しかったです。

 テントには、11時24分に戻ってきました。雨も降ってきました。その雨の中、傘をさして金峰山へ登っていかれる2人のご婦人方がいました。これからの時間では、おそらく金峰山小屋泊まりなのでしょう。

 1泊しながら、今回の山の絵はたった2枚です。(富士見平小屋の絵は少々中途半端です)山の天気は変わりやすく、描ける時に描いていないとダメだと思いました。

 それから自分の歩いたコースタイムはガイドマップに書かれている時間よりもかかっており、昔のような体力ではないことも実感させられました。今回は時間的には余裕のある設定です。これからも余裕のある設定で山の絵を描いていこうと思います。