スチール缶を使った水差し作り

 スチール缶に真鍮のパイプと取っ手をつけた小さな水差しです。

 アルミ缶ではハンダづけができないので、スチールの缶を探す必要があります。

 この題材は、渋谷の東急ハンズで行われていたハンズ大賞展で兵庫教育大学の松浦正史先生が出品されていた作品を見て作ってみたものです。中学校の美術部や美術の選択授業でも作らせてみました。その際には松浦先生から安全面への配慮など、細かいご指導をいただきました。

 久しぶりに、作ってみましたので、過去の写真と最近の写真を交えて作り方を説明します。

 

 材料

・スチール缶

・真鍮パイプ(私は直径6mmのものを使っています)

・真鍮の平板(幅6mmのものを使います。大きな缶の場合は9.5mm幅のものを使いました)

 

 道具

・金工用の弓鋸(細かい刃のものが使いやすいです)

・ハンダゴテあるいはマイクロバーナー(生徒に使わせるのでなければマイクロバーナーをお勧めします) ハンダ。 ハンダづけ用のフラックス

・パイプベンダー

・鉄ヤスリ 紙やすり

・電気ドリル

・ウィノールやピカールなどの金属磨きペースト

 真鍮パイプ及び真鍮の平板を必要な長さに金工用の弓鋸で切断します。

 パイプは注ぎ口を斜めに切ります。斜めに切ったこの部分は危険なため、テープを巻いておくと良いです。

 真鍮パイプを曲げるには、パイプベンダーという道具があると便利です。

 取っ手の平板は指とペンチで曲げました。

 真鍮はガスコンロなどで赤くなるまで熱し水で冷やす、焼きなましをやっておくと曲げやすくなります。6mmのパイプでしたら、焼きなましをしなくても、ゆっくりと曲げていけば曲がります。急に曲げようとするとパイプが潰れたりします。


 スチール缶は、パイプを取り付ける部分にドリルで穴を開けます。そして、その穴の周り1mmぐらいと取っ手を付ける部分の塗装をヤスリで剥がします。そうしないとハンダが付かないのです。

 以前は鉄ヤスリで削っていたのですが、ルーターという道具を買ったので、これを使いました。あっという間に出来てしまいます。実はこの作業に今まで意外と時間がかかっていたのです。

 極細の炎が出る、小さなガスバーナーを持っていたので、それを使ってハンダづけを行いました。電気のハンダごてを使う場合は、時間がかかります。

 ガスバーナーによるハンダづけは、早くできるのですが、コツが入ります。

 生徒に作業をさせるのであれば、ハンダごてを使う方が無難です。

 ガスバーナーは使い方に慣れるとあっという間にハンダづけができるので、たくさん作る時には大変便利です。

 パイプのハンダづけは、あらかじめ糸ハンダをパイプの末端に巻いておき、それを缶に差し込んでからハンダを溶かします。取っ手の場合は、缶の取っ手をつける部分にハンダを盛っておき、取っ手をその上に置いてから熱を加えハンダを溶かしてつけるようにします。電気のハンダごては、配線に使うような熱量の低いものでは多分うまく出来ないと思います。ステンドグラス用などある程度熱量のあるものが良いです。真鍮のパイプや缶に熱が伝わらないとハンダだけが溶けてしまい、くっつかないのです。ハンダ付けは経験を積むと簡単に出来るようになります。授業の時には何回も練習するわけに行きませんから、生徒に付ききりで指導しました。

 ハンダづけが終わったら、パイプと取っ手部分の真鍮を磨きます。耐水ペーパーなどの紙ヤスリで磨いたあと、ウィノールやピカールといった金属磨きペーストで磨くと、驚くほど綺麗になります。

 できれば、インクララックスプレーなど金属用の透明ニスを塗っておくと変色を防げます。

 生徒に作らせた時には、注ぎ口が尖って危険なため、ビニールのパイプを付けさせました。

 私の場合は、先端を少しハンマーで叩いてからヤスリをかけ、丸みを持たせています。