リコーダーアンサンブルを楽しんでいた時、竹でリコーダーを作ったりしましたが、リコーダー以外の楽器にも興味を持ちました。カテリーナ古楽合奏団の方々と大学時代に交流があり、手作りの楽器を見せていただいたのが、そうした楽器を自分でも作るきっかけとなっています。そのいくつかを紹介します。楽器づくりを教わったわけでもなく、自己流なので、あまり参考にはならないと思います。しかし、自分たちのアンサンブルで楽しむ程度には使えましたので、古楽器は高価だからとあきらめている方には、手作りにチャレンジしてみようかと勇気づけることぐらいできると思い、旧HPの「古楽と美術の小箱」から抜粋して載せることにしました。
これは、レベックという中世の弦楽器です。胴の部分は、木をくり抜いてあり、その上に響板を貼ってあります。胴の木はカツラを使いました。響板はスプルース、指板は胴の上に貼り合わせてありますが、カリンを使いました。糸巻きもカリンです。駒は、テールピースと一体化した形になっています。弦は、ビオラダガンバ用のガット弦を使っています。弓は、くるみの木を使い、下倉楽器でバイオリンの弓用の馬の毛を購入して張ってあります。
図面はこの楽器を作る際に自分で描いたものです。響板の厚さや胴体の厚さには検討の余地があります。
最初に作ったバスガンバ
キットを元に作ったバスガンバ
3台目のテナーガンバ
ビオラダガンバは、ルネッサンスからバロックにかけて使われた弦楽器です。チェロのように見えますが、チェロとは違い、弦は6コースから7コースあり、ギターのようなフレットがあります。フレットは、弦と同じ羊の腸のガット弦が使われています。また、チェロよりも材料は薄く軽く作られており、音もミーンというような独特の柔らかい響きがあります。
ビオラダガンバの製作を思い至ったのは、大学時代のことにさかのぼります。大学時代にベニヤ板でガンバを作っている人と知り合いになり、リコーダーアンサンブルの演奏に来てもらったとき、ベニヤ板とは思えない音色に驚いた覚えがありました。その後、ずっとリコーダーアンサンブルを続けていたのですが、ルネサンスのブロークンアンサンブルを楽しみたくて、ガンバを手に入れることを考えました。その時は金銭的には全く余裕のない時期でしたので、大学時代を思い出し、ベニヤでガンバを作ることを最初考えました。そして作り始めようとしていた時、友人の家が水害にあい、友人のバスガンバが水に濡れて膠がはずれ、中が見える状態になりました。不幸に便乗して申し訳なかったのですが、構造を観察させてもらい、ベニヤより少しましなガンバを作ることを思いたちました。
友人のガンバを元に図面を引きました
材料は新木場の「もくもく」という店で揃えました
楓材からネックを削り出す作業は根気がいります
胴部分を製作するには、最初に型を作る必要があります。左はキットに付いていた型です。右は自作のテナーガンバ用です。
薄く削った楓材を曲げるには、アイロンという道具が必要です。足場用の鉄パイプで自作しました。このパイプをコンロで熱し、その上に水に浸けておいた楓材を乗せ、革で押さえて曲げました。パイプを置く台も必要です。
型に合わせて曲げた側いた板を置き、膠で固定していきます。
集合住宅の最上階でしたので、階段の踊り場を使わせてもらいました。お隣さんすみません。
掃除機を取り付けたルーターです。それでも部屋の中が木屑だらけになりました。
根気よく削るしかありません。
旗金(ハタガネ)とう道具で接着面を固定しています。
ビオラダガンバの手作りは、バスガンバを最初に作り、テナーガンバを次に作りました。また、頼まれてキットのバスガンバも作りました。素人の方でも、もっと作っていらっしゃる方がいます。そうした方を訪ねて鎌倉の方まで行ったことがあります。年配の女性の方でしたが、とても美しいガンバを作られていて感動しました。ガンバ作りを真剣に考えていらっしゃる方は、そうした方を訪ねていったほうが良いと思います。私の場合は、とにかく安価に、アンサンブルで使えるガンバを作りたいという思いから作りました。作業スペースは無いので、部屋の中をカンナ屑だらけにしたり、写真にあるように階段の踊り場で作業をしたりしました。お金が無い、場所が無いとあきらめずにやってみようと思う気持ちがあればなんとかなるものです。